曼荼羅はどこから見る? 東寺の実物から入る密教の世界

日本の古い寺院の堂内に色鮮やかな曼荼羅が掛けられた想像上の情景 神秘のしるし
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たくさんの仏が、隣り合う小さな場所に座っている。曼荼羅を初めて見ると、画面の端まで目が忙しい。密教で用いられる曼荼羅は、教えの世界を仏たちの姿と配置で表した図です。密教は、仏教のなかで、言葉に加えて図像や儀礼も通して教えを伝えてきた伝統を指します。

複雑な名前を覚える前に、まず中央を見てください。東寺に伝わる「胎蔵界曼荼羅」では、八枚の花びらを持つ蓮の花が、画面の真ん中に描かれています。花の中心に座るのが、密教で中心となる仏、大日如来です。そのまわりから外側へ、仏たちの世界が広がります。

二枚で見る、密教の世界

東寺には胎蔵界と金剛界、二つの曼荼羅が伝わっています。「両界曼荼羅」と呼ばれる組み合わせです。胎蔵界では中央の蓮が目印になりますが、金剛界は九つの区画に分かれた構成をしています。東寺の解説では、胎蔵界は理、金剛界は智慧を表すとされています。同じ仏教の世界を、異なる面から描いているのです。ここでいう「理」は世界の成り立ちや根本のあり方、「智慧」はそれを見通すはたらき、と考えると入口がつかめます。

東寺に伝わる胎蔵界曼荼羅の歴史資料画像
東寺に伝わる胎蔵界曼荼羅。 作者不詳 / Wikimedia Commons(パブリックドメイン。表示用に縮小)

ここに載せたのは、東寺に伝わる胎蔵界曼荼羅の図版です。冒頭の寺内の画像は雰囲気を描いたイメージで、曼荼羅の形を確かめるにはこちらを見てください。蓮の八枚の花びらにも、それぞれ仏が座っています。まず花の中心、次に花びら、そこから周りの四角い区画へ。そうして目を動かすと、たくさんの仏が中心を囲む配置を追いやすくなります。

絵から、堂内へ

東寺の講堂には、仏像を配置して密教の世界を示す「立体曼荼羅」もあります。紙の上の配置が、実際の空間へ広がったような姿です。絵の配置を眺める、堂内で仏像の並びを見る。方法は違っても、言葉だけでは届きにくいものを、目と身体でつかもうとしたところがつながります。

講堂の中央には大日如来。そのまわりに如来、菩薩、明王、天部を合わせて二十一の仏像が置かれています。東寺の説明では、空海がこの配置を構想したとされます。図の中で小さく見えた仏が、人と同じ空間に立つ。見る位置を変えると、隣り合う仏同士の関係も変わって見えます。

この話の参考資料

冒頭画像は題材から着想したイメージです。本文の実物写真の出典は画像の下に記しました。