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勾玉(まがたま)と聞けば、ひとつの石がくるりと曲がった形を思い浮かべるかもしれません。ところが、背中に小さな勾玉をいくつも乗せたものがあります。「子持勾玉(こもちまがたま)」です。
九州国立博物館が紹介する二点は、古墳時代の六世紀に作られたとみられます。大きいほうは、親玉の背に四つの小さな玉が並ぶ。名前だけを見ると親子のようですが、博物館は、この形が何を表したのかは明らかでないと記しています。
実物を見てみる
まずは、別の出土例の写真を見てください。群馬県のカトンボ山古墳から出土した子持勾玉です。普通の勾玉の滑らかな背とは違い、小さなふくらみが連なっています。アクセサリーとして首から下げる姿を想像すると、ずいぶん大ぶりで、不思議な形です。

写真の品は、九州国立博物館の二点とは別の子持勾玉です。同じ名前でも、子玉の数や親玉の形には違いがあります。九州国立博物館の収蔵品ページでは、同館が所蔵する二点の実物写真も見られます。
なぜ「子」をつけたのか
九州国立博物館の大型品では、親玉から薄い板状の部分を作り出し、そこを成形して小さな玉にしています。あとから別の勾玉を貼りつけたわけではありません。一つの石を彫り進めて、親と子のように見える輪郭を生んだのです。
「子持」という呼び名は、その見た目をうまく捉えています。ただ、製作者自身が本当に親子を表そうとしたかは分かりません。奈良国立博物館は、多産や豊穣を願う祭祀に使われたとする説を紹介しています。何に使ったかを考える手がかりにはなるものの、何を形にしたかの答えとは別です。
意味を決めきれない形
勾玉には、時代や使う人によって、身を飾るもの、力を示すものなど異なる役割がありました。福岡市博物館は、古墳時代に子持勾玉が祭祀の道具として使われたことも紹介しています。博多区の遺跡では五個以上が、水辺で儀礼を行った痕跡とともに見つかったそうです。首に下げる飾りを想像していたら、意外な使われ方でしょう。
小さな玉を背負うような輪郭を、六世紀の人は何に見立てたのか。実物は残りました。名前もあります。それでも、形に込められた願いはまだ聞こえない。その静けさまで含めて、目を離しにくい品です。
この話の参考資料
冒頭の画像はカトンボ山古墳出土の実物写真(Saigen Jiro/パブリックドメイン)をもとに、背景と光を加工したイメージです。造形は本文の資料写真でご確認ください。


