病の答えを夢で待つ。古代ギリシャの神殿には眠る場所があった

夜の古代ギリシャ神殿と静かな眠りの場を描いた風景 願いと引き寄せ
もっと自然な音声で聴くには

お使いのブラウザーに備わっている読み上げ機能もご利用いただけます。

iPhone・iPad:Safari

  1. Safariでこの記事を開きます。
  2. アドレス欄の左端にあるページメニューボタンをタップします。
  3. 「ページの読み上げを聞く」を選びます。

Safariの公式手順

Android:Chrome

  1. Chromeでこの記事を開きます。
  2. 右上の「︙」メニューを開き、「このページを読み上げ」を選びます。
  3. 再生画面で声や速度を調整できます。再生モードが表示される場合は、「標準の再生」を選ぶと記事の全文を聴けます。

項目が表示されない場合は、Chromeの公式ヘルプで利用条件をご確認ください。

PC:Microsoft Edge

  1. Microsoft Edgeでこの記事を開きます。
  2. 記事本文の上で右クリックし、「音声で読み上げる」を選びます。
  3. 画面上部の「音声オプション」で、声や速度を変更できます。

Windowsでは、Ctrl+Shift+Uでも読み上げを開始・停止できます。Edgeの公式手順

メニュー名や利用できる機能は、ブラウザーのバージョンやページによって異なる場合があります。

悩みへの答えを、夢の中で待つ。そのために、わざわざ神殿へ泊まりに行く人たちがいた。古代ギリシャの医神アスクレピオスを祀る聖域には、祈るだけでなく、眠るための場所が設けられていた。

もっとも、寝れば神のお告げが必ず聞けるという話ではない。病を抱えた人々は清めや祈りを行い、夜を迎えた。メトロポリタン美術館の解説では、夢の中に医神が現れ、治療の仕方を示すと信じられたという。古代の信仰と医療が、同じ場所で重なっていた。

答えを待つための一夜

ギリシャのエピダウロスには、その眠りの場とされる長い建物の遺構が残る。アバトンという名で知られ、柱が続く回廊の姿を、今も見ることができる。写真の石柱を前にすると、夢のような話が、実際に人の足を運ばせたことが分かる。

ギリシャのエピダウロスに残るアバトンの石柱と遺構
エピダウロスに残る、眠りの場アバトンの遺構。 写真:George E. Koronaios / Wikimedia Commons(CC0。表示用に縮小)

家で眠るのとは違い、人々は聖域へ足を運び、清めや祈りを経て一夜を過ごした。眠りは、目を閉じる前から始まる儀礼でもあった。夢の中で示されるという答えを待つために、場所も、夜の迎え方も変えていたのだ。

神殿の石が残したもの

残された建物から、そこに泊まった一人ひとりの夢は読み取れない。治療が実際に効いたかどうかも、この話だけでは分からない。ただ、病や不安を抱えた人が「今夜、何かを聞けるかもしれない」と思って眠った場所は、空想ではなく石の上にあった。

横になって夜を待つという行為まで、聖域の建物に組み込まれていた。柱の続く回廊を見ると、夢は一人が眠っている間だけの出来事ではなく、人々が遠くから集まる理由でもあったのだと気づく。

この話の参考資料

冒頭画像は題材から着想した再現画です。本文の実物写真の出典は画像の下に記しました。