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火山のそばに、金色の細い髪が散っている。ハワイのキラウエア火山では、そんな不思議なものが見つかります。「ペレの髪」と呼ばれる、火山ガラスの細い糸です。
名はハワイの火山の女神ペレにちなみます。けれど、人の髪でも植物の繊維でもありません。熱い溶岩のしぶきが風に引き伸ばされ、冷えて固まると、光を受ける細いガラスになるのです。物語の名と、火山が実際に作った形が重なっています。
米国立公園局の説明では、溶岩の表面近くでガスの泡がはじけるときにも、薄い溶岩が長く引き伸ばされます。見た目は柔らかな髪でも、正体はガラス。風に乗るほど軽く、火口から離れたくぼ地に集まって、金色のじゅうたんのようになることもあります。
火から生まれた、壊れやすい糸
写真には、実物の「ペレの髪」が束になった姿が写っています。細い糸が何本も絡み合っていますが、正体はガラスで、先端は鋭い。現地では拾い集めたり素手で触れたりせず、案内に従って眺めるものです。

遠くに赤い溶岩、手前に金色の糸。冒頭の絵はその対比を描いたイメージです。実際の糸がどんなふうに落ちているかは、写真で見られます。強い火が、こんなに細く静かなものを残すとは意外です。
さらに意外なのは、鳥がこの糸を巣材に使うこと。公園の博物館には「ペレの髪」を編み込んだ鳥の巣が保存されています。噴火が生んだガラスの糸が、森の暮らしの中にまで入り込んでいるのです。
女神の名を呼びたくなる理由
自然現象を知ると伝承の魅力が減るかというと、そうでもありません。溶けた岩が空中で伸び、光る糸になって地上へ戻る。その過程を知ったうえでも、地面に散る金色を見れば、誰かの髪と呼びたくなる気持ちがわかります。


