床下の瓶には釘が入っていた。英国に残る魔除けのまじない

古い英国の家の床下に隠された緑色の瓶と釘を描いた場面 魔術と浄化
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家の床を直していたら、釘の入った古い瓶が出てきた。うっかり落としたごみではないかもしれない。かつてイングランドには、災いから身を守るために、瓶を使うまじないがあった。「ウィッチ・ボトル」と呼ばれるものだ。

イングリッシュ・ヘリテージの解説によれば、こうした瓶は十七世紀後半以降に使われ、針や釘、棘などが入れられることもあった。中身を温めたり埋めたりして、害を及ぼすと疑われた相手に苦痛を返すと信じたという。守りたい気持ちと、相手を恐れる気持ちが一緒に詰め込まれた、少し不穏な道具だ。

残っている瓶には、怒ったような男の顔が浮き彫りになった陶器もある。外側はただの容器に見えても、中には針や釘、時には液体まで入れられた。当時の人が何を恐れたのかは瓶ごとに違うだろう。それでも、恐れを具体的な物に移し、閉じ込めようとした手つきは共通している。

見せるための魔除けではない

玄関に飾るお守りなら、来客にも見える。だが瓶は、後から見つかるまで隠されていた例がある。家を守るつもりで、暮らす人の目からも遠ざけた。持ち主がいなくなったあと、工事や発掘で出てくるのはそのためだ。

写真は、実際に残った瓶と、その中から見つかったもの。容器と金属片が並ぶ姿を見ると、災いを防ぐために、身近な物を集めて瓶に詰めた人の手元まで想像したくなる。

実際に発見されたウィッチ・ボトルと中に残っていた金属片
発見されたウィッチ・ボトルと中に残っていたもの。 写真:Portable Antiquities Scheme from London, England / Wikimedia Commons(CC BY 2.0。表示用に縮小)

瓶に閉じ込めたかったもの

見えない災いを相手に、手元の釘や棘を使って対処しようとした。その試みが、瓶の中に残っている。

イングリッシュ・ヘリテージによれば、発見例はイングランド東部や南東部などを中心に百件を超える。家の壁や床の奥に隠されていたものが、長い年月のあとで姿を現す。誰にも見せるつもりがなかったからこそ、恐れと祈りがそのまま残ったのかもしれない。

この話の参考資料

冒頭画像は題材から着想した再現画です。本文の実物写真の出典は画像の下に記しました。