マヤの暦の守り手に、悩みを話す

グアテマラのイシムチェで、火の周囲を囲む祝いの参加者たち 星・運命・魂
2012年、イシムチェで行われた、マヤの長い日数を数える暦の節目の祝い。 写真・資料:Tom Fortunato / Wikimedia Commons(CC BY 4.0、縮小して掲載)
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マヤの暦を、三十年以上読み続けてきた人がいる。グアテマラの高地に暮らすロベルト・ポスだ。スミソニアン国立アメリカ・インディアン博物館は、彼を「暦の守り手」の一人として紹介している。

ロベルトが自分の仕事について語るのは、助言を求めて来る人を支えること。マヤ暦というと古代の石碑や占いを思い浮かべても、その暦を使って、いま誰かの相談に乗っている人の姿は見えにくい。

彼らが受け継ぐ暦の一つは、260日で一巡する。20の日の名と13の数字を組み合わせる聖なる暦である。

四粒ずつの種占い

ラテンアメリカ研究協会の企画展「Maya Spirituality(マヤ・スピリチュアリティ)」には、相談の場面を描いた絵がある。その解説で紹介されるのは、大切な決断や大きな計画を前に、暦の守り手を訪ねる習わしだ。

布をかけた聖なる卓に、木の種や占いの道具を並べる。担い手は種を二つに分け、その一方を四粒ずつのまとまりにして、暦の日々を表す列をつくる。そして、相談者本人や、その悩みについて問いかけていくという。

相談の終わりには、特定の日に聖なる場所で儀礼を行うよう勧められることもある。単に未来の出来事を言い当てる話にとどまらず、悩みを聞き、次に何をするかを日付と結びつける。展示解説が伝えるのは、そうした占いと助言の場面である。

助言を求めて来る人たち

博物館の映像で、暦の守り手ロベルト・ポスは、自分たちの役割を、助言を求める人を支えることだと説明している。できること、現在の状況で可能なことの範囲で、人を助ける。相談する相手がいて、その人にいまできる助けを考える仕事なのだ。

別の担い手、エルメリンダ・サポンは、女性として地域の女性たちを支えることにも触れる。文化を尊重し、地域の人の力になることが、彼女の仕事の中にある。

「暦を読む」と聞けば、自分の将来を教えてもらう場面を思い浮かべるかもしれない。けれど、この人たちが語るのは、相談する人をどう支えるかという役割でもある。数字を解いて答えを渡すだけでは、その仕事を言い表せない。

石を積んだ祭壇の上に十字架や供物が並ぶ、サン・アンドレス・シェクルの風景
グアテマラのサン・アンドレス・シェクルにある現代のマヤの祭壇。本文の証言とは別の場所。 写真・資料:Simon Burchell / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、縮小して掲載)

20の名と13の数字

マヤには、一種類だけの暦があるわけではない。ここでたどるのは、260日で一巡する聖なる暦だ。グアテマラのキチェ語では「チョルキフ」、ユカテク・マヤ語では「ツォルキン」と呼ばれる。

仕組みの中心にあるのは、20の日の名と、1から13までの数字。毎日、名前と数字が一つずつ進む。数字が13まで来たら1へ戻るが、日の名はそこで最初に戻らず、次の名へ進んでいく。

数字と日の名が、再び同じ組み合わせになるまで260日。20と13を掛けた長さだ。ひと月を終えるたびに仕切り直すカレンダーとは違い、二つの数え方を並行して進めていく。

数字と日の名を一日ずつ進め、儀礼を行う日を迎える。暦の守り手が追うのは、その土地で暮らす人たちが使っている日付だ。

新たな担い手を迎える日

博物館の解説によれば、グアテマラ高地の担い手たちは260日の周期に、新しい巡りを迎える儀礼を行う。その場では、新たに暦の守り手となる人も迎えられるという。

日付が一巡する場が、次にこの役割を担う人を迎える場にもなる。暦が続くことと、それを使う人が続くことが、同じ儀礼に重なっている。

ヴィルマは、祭壇で自分たちの命と人々の命に感謝すると語っている。ロベルトが長年続けてきた日数えを、新しい担い手が学ぶ。260日後に戻ってくる日付を、次はその人たちも数えている。

この記事の参考資料

冒頭画像:2012年、イシムチェで行われた、マヤの長い日数を数える暦の節目の祝い。 写真・資料:Tom Fortunato / Wikimedia Commons(CC BY 4.0、縮小して掲載)