お日柄・暦注について
暦に添えられた、お日柄や習わしに関する注記を「暦注」といいます。神吉日・天恩日・大明日など、特定の行事に結び付いた日の名前もその一つです。
同じ日に複数の暦注が重なることもあります。「今日のきざし」では、お参り、祝い事、旅立ちなど、何についての吉凶なのかを添えて紹介します。
「お日柄」は、暦注や六曜から見た日の良し悪しをまとめた呼び方です。「今日のきざし」では、六曜とは別に、その日に当たる暦注を「お日柄」の欄に載せています。
神吉日(かみよしにち)
神社への参拝や祭り、先祖をまつることなど、神事に吉とされる日の名前です。暦では「神よし」と書かれることもあります。
「神よし」とも書かれ、神社への参拝や祭礼、先祖をまつることなど、神事に関わる行いを吉とする名前です。何についての吉日なのかが、名前に表れています。
大安などの六曜とは別に付く暦注です。そのため、六曜では慎重に見る日でも、神吉日が重なる場合があります。
天恩日(てんおんにち)
天の恩恵にちなむ暦注で、祝い事などに吉とされる日です。伝統的な解釈では、祝い事と葬送などを分けて扱います。
天から恩恵を受けるという意味を重ね、祝い事などを吉とする暦注です。吉日という一語でまとめず、どんな行事に結び付いた名前かを読むと意味がつかめます。
同じ日に神吉日や大明日が重なっても、「吉が三倍になる」と数えるものではありません。それぞれが示す行事や意味を添えて紹介します。
大明日(だいみょうにち)
天地が開け、太陽の光が広く行き渡るという意味を持つ暦注です。建築や移転、旅立ちなどに吉とする解釈があります。実際の天気を表す言葉ではありません。
太陽の光が天地を明るく照らすという意味を持ち、建築や移転、旅立ちなどによいとされます。日取りに付く伝統的な意味で、晴れるかどうかを知らせる天気予報ではありません。
ほかの暦注と重なることもあります。旅や引っ越しの予定があるときは、何についてよいとする名前なのかを知るための手がかりになります。
黒日・受死日(くろび・じゅしび)
古い暦で、強い凶の意味を付けられた日の名前です。暦に黒い印を付けたことから黒日とも呼ばれます。その日に病気や事故が起こるという予告ではありません。
強い凶の意味を付け、暦に黒い印で示したことに由来する名前です。「受死」という文字は強く感じられますが、古い暦注の呼び名として読む言葉です。
名前が強く感じられても、その日に死や病気が起こるという予告ではありません。古い暦の中で、行事を慎む日を示した呼び名として理解すると、言葉の意味をつかみやすくなります。
小土(こづち)
昔の暦で、土を掘ったり動かしたりする作業を慎むとされた期間の一つです。土の神を大切にする考え方に結び付く風習で、季節の節目にある「土用」とは別に巡ります。
土の神を大切にする考え方と結び付き、土を掘る、土木工事をするなどの作業を慎むとされた期間です。「小犯土」と書かれることもあります。
季節の節目にある土用とは別の周期で巡ります。「土」の字が共通していても同じ期間ではないので、メールでは名前を分けて掲載します。
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)
一粒のもみが育ち、多くの実りにつながるという意味を持つ吉日です。よいことの始まりに向く日とされます。
小さく始めたことが育つという縁起から、新しい取り組みなどに結び付けられます。一方、借り入れなどには、苦労の種も大きくなるとする解釈があります。
お金や持ち物が実際に万倍になるという約束ではありません。何を始め、育てたいかを考える暦の言葉です。
天赦日(てんしゃにち・てんしゃび)
天が万物を赦すという意味を重ねた吉日です。暦では、婚礼や新しい取り組みなどに広くよい日とされます。
「赦す」は、ゆるすという意味の字です。日取りの暦注として伝えられている名前で、一年の中で特に吉の意味を持つ日として親しまれています。
他の暦との重なりをどう扱うかには解釈の違いがあります。一つの行事について、どの暦を参考にしているかを添えて読みます。
不成就日(ふじょうじゅび)
物事が成就しにくいとする意味を持つ暦注です。婚礼、開店、契約など、新しい物事を始めるのを慎む日とされます。
名前は、成し遂げることや願いがかなうことを表す「成就」に、打ち消しの「不」を付けたものです。古い暦の日取りの読み方として使われます。
その日に始めたことが必ず失敗するという予告ではありません。ほかの吉日と重なる場合の扱いにも、参照する暦によって違いがあります。
母倉日(ぼそうにち)
母が子を育てるように、天が人をいつくしむ日とされる吉日です。婚礼や建築、移転などによいと伝えられます。
季節ごとに決まった十二支の日が母倉日になります。土用の期間には、また別の十二支の日が当てられます。
やさしい響きの名前ですが、その日に必ず良いことが起こるという約束ではありません。「今日のきざし」では、何によいとされる日なのかを添えて紹介します。
月徳日(がっとくにち)
その月の徳が宿るとされる、古い暦の吉日です。家の増改築や、土に関わる作業などによいと伝えられます。
月ごとに決まった十干の日が月徳日になります。「つきとくにち」と読まれることもあります。
同じ日に凶の暦注が重なる場合もあります。どちらを重く見るかは、参照する暦や用事によって分かれます。
三隣亡(さんりんぼう)
建築に関する凶日とされる暦注です。この日に家を建てると火事を出し、向こう三軒両隣まで滅ぼすと言い伝えられてきました。
月ごとに決まった十二支の日が三隣亡になります。江戸時代以降に広まった、暦注の中では比較的新しいものです。
対象は棟上げなど建築に関わる行事で、日常の買い物や外出とは関係しないと読むのが一般的です。
土用(どよう)
立春・立夏・立秋・立冬の前の、それぞれ約18日間を指す雑節です。季節が移り変わる準備の期間とされます。
古代中国の五行説で、春夏秋冬を木・火・金・水に当て、残る土を季節の変わり目に割り当てたことに由来します。始まる日を「土用入り」、終わる日の翌日を「土用明け」といいます。
土用の間は土を掘る作業を慎むという習わしがあり、夏の土用の丑の日にうなぎを食べる風習もよく知られています。前に紹介した「小土」とは別のものです。
庚申(こうしん)
60日ごとに巡る干支の一つ、庚申(かのえさる)の日です。
人の体の中にいる三尸(さんし)という虫が、庚申の夜、眠っている間に天に昇り、その人の罪を天帝に告げると信じられていました。そこで夜通し起きて過ごす「庚申待ち」の習わしが生まれ、各地に庚申塚や庚申塔が残っています。
吉凶を示す暦注というより、信仰や行事と結び付いた日として紹介します。
天一天上(てんいちてんじょう)
方角の神とされる天一神(てんいちじん)が、天に昇っている16日間のことです。
天一神は地上の方角を巡るとされ、その方角へ向かうのを避ける「方違え(かたたがえ)」の習わしがありました。天に昇っている間は、方角を気にせず出かけられるとされました。
癸巳(みずのとみ)の日から戊申(つちのえさる)の日までの16日間で、60日ごとに巡ってきます。
十方暮(じっぽうぐれ)
干支の甲申から癸巳までの10日間を指す選日です。昔の暦では、物事が滞りやすい期間として慎む見方が伝わります。
メールの「最終日」は、この10日間の最後を示します。実際に何をしてもうまくいかないという予告ではありません。
十死日(じっしにち)
暦で、婚礼や葬送などを慎む日として扱われてきた凶日の名前です。名前に強い字が含まれますが、人の死を予告するものではありません。
吉凶は昔の日取りの習わしです。現実の予定や必要な手続きを、暦の呼び名だけで判断するものではありません。
巳の日(みのひ)
日の十二支が巳に当たる日で、12日ごとに巡ります。蛇を弁才天の使いに見立て、弁才天へのお参りなどに結び付ける習わしがあります。
金銭にまつわる願いとともに語られることもありますが、収入や財産が増える効果を約束するものではありません。
己巳の日(つちのとみのひ)
十干の己と十二支の巳を組み合わせた日で、60日ごとに巡ります。巳の日の中でも、弁才天への信仰と結び付けて親しまれる日です。
「巳の日」は12日ごと、「己巳の日」は60日ごとです。己は十干の一つで、つちのとと読みます。
月徳合日(がっとくごうにち)
暦注の一つで、月徳日に対応する別の干の日を吉日として扱うものです。普請や土に関わることなどによいとする見方が伝わります。
月徳日と関連する名前ですが、同じ日を別の読み方で呼んでいるわけではありません。月ごとの規則に従って配当されます。
鬼宿日(きしゅくにち)
二十八宿で鬼宿に当たる日です。暦ではさまざまなことによいとする一方、婚礼を慎む見方も伝わります。
「お日柄」の鬼宿日と「二十八宿」の鬼宿は同じ宿に基づく表示です。名前の鬼は、その日に災いが起きるという予告ではありません。
八専(はっせん)
壬子から癸亥までの12日間を指す選日です。干と支に同じ五行が重なる日を中心に、昔の暦で慎む期間として扱われました。
期間内には「間日」として区別される日もあります。八専の始まりと終わりは、干支の巡りから決まります。
大土(おおづち)
庚午から丙子までの7日間を指す選日です。土を動かす工事などを慎むという習わしがあります。
続く丁丑の日を挟み、戊寅から甲申までの小土へとつながります。季節ごとの土用とは別の区切りです。
甲子の日(きのえねのひ)
60通りの干支の最初に当たる日で、60日ごとに巡ります。甲はきのえ、子はねと読みます。
大黒天への信仰と結び付ける習わしや、物事の始まりの節目として捉える見方があります。
